燃費を27%削減。日産インフィニティの新型可変圧縮比エンジン(VC-T)は小型ターボエンジンの常識を変える
日産自動車が日本国外で展開している高級自動車ブランド、インフィニティは、世界初の可変圧縮比ターボエンジン(VC-T)を発表しました。今年のパリのモーターショーに出展されるとのことです。
このエンジンは、インフィニティのクロスオーバーSUV、QX50に搭載される予定とのことです。
この可変圧縮比エンジン(VC-T)は、4気筒のリッターエンジンで、最高出力268馬力、最大トルク390Nmですが、従来よりも燃費性能を27%向上させています。
エンジンについては、最近は小型のターボエンジンが流行ですが、小型ターボエンジンには欠点があります。
小型ターボエンジンは、走行時の負荷が低く、ターボが必要でないような場合には、ターボなしのエンジンよりも動力を生み出す効率性が低く、結果として燃費が悪くなってしまいます。
これは、ターボエンジンは低い圧縮比でピストン運動しているためです。ターボエンジンのような強い馬力を生み出すエンジンは、高い圧縮比でピストン運動すると、爆発する可能性が起こるためこのような仕組みになっています。しかしこれが燃費が悪い原因なのです。
このたび発表されたVC-Tエンジンは、走行状況に応じて、圧縮比が変わるという画期的な仕組みです。
すなわち、馬力を必用とする走行環境下では、低圧縮比でピストン運動し、そうでない場合は高圧縮比に切り替わってピストン運動することで、燃費性能を高めます。
圧縮比は1:8から1:14の範囲で変動するということです。
このVC-Tエンジンは、エンジンのシリンダー内での爆発する点(上死点)の高さを変化させることにより実現しました。
また、2リッター4気筒のターボエンジンを搭載しているクルマは多くのメーカーから発売されており、このVC-Tエンジンよりも低い馬力のクルマも高い馬力のクルマもありますが、このエンジンほど高い馬力と高い燃費性能の組み合わせを同時に実現しているエンジンはありません。
インフィニティの発表によると、この技術は他の4気筒エンジン搭載車にも適用は可能とのことですが、V6エンジンやV8エンジンへの適用は現在のところできないとのことです。
いずれ、このVC-Tエンジンはインフィニティに限らず、他の自動車にも搭載されることが期待されますね。
出典:http://www.autoblog.com/2016/08/14/infiniti-vc-t-engine-variable-compression-official/