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2016-10-16

トヨタ・スズキ提携の背景、次の巨大自動車市場インドの現状と両者の思惑

トヨタの豊田社長とスズキの鈴木会長が共同記者会見を開き、「両社の協力関係の構築に向けた検討を開始する」と発表しました。

提携内容の詳細は発表されず、環境や情報技術などでの提携を検討し、具体的に何ができるかをこれから話し合うというあいまいな内容でしたが、両者はそれぞれどのような意図があってこのような協力関係を検討していくのでしょうか。

共同記者会見の席上でも、自動運転や環境、電気自動車や燃料電池といった次世代の動力源など、自動車業界は空前の技術開発競争時代に入っており、とても1社だけではこのような競争に対応できないから。というコメントがありました。

両者の思惑は❓
両者の思惑は❓

スズキにとっては、自社よりも規模が大きく、技術開発でも先行するトヨタと協力するメリットは大きいでしょうが、トヨタにとってスズキと協力するメリットは何でしょうか。

そのひとつは、スズキがインド市場で圧倒的なポジションを築いており、トヨタのインド市場対策という意味合いがあるのではないか。と指摘されています。

そこで、インドの自動車市場は、日本人にとってあまりなじみがないと思いますので、インドの自動車市場の現状と、両者の思惑について考えてみたいと思います。

2020年までに世界3位の自動車市場となるインド

インド自動車市場の現状は❓
インド自動車市場の現状は❓

インドは世界第二位の約13億人の人口を抱える国で、経済成長率も高く、2020年までには世界第三位の自動車市場になるだろうと予測されています。

2013年では、676億ドル(約6兆8000億円)の販売金額でした。金額ベースでは、平均で年率6%で成長している市場です。

インドの自動車市場は年率6%で成長
インドの自動車市場は年率6%で成長
出典 : www.ibef.org

このインドの自動車市場で、ほぼ50%のシェアをもつのがスズキの子会社、マルチスズキです。

トヨタはホンダ、韓国のヒュンダイ、インドのマヒンドラ&マヒンドラよりもシェアは低く、4.6%に留まります。

インド自動車市場のシェア
インド自動車市場のシェア

コンパクトカー市場ではさらにトヨタのシェアは低く、世界全体では首位のトヨタですが、インドでは大苦戦という状況ですね。

一方、マルチスズキはインドで圧倒的なシェアをもっていて安泰のようですが、必ずしも将来見通しは万全ではありません。

インドは世界でもっとも大気汚染のひどい40都市のうち半数の都市を抱える国であり、大気汚染の原因として自動車の排気ガスも無視できない状況となっています。

インドの旧首都デリーの大気汚染の様子。確かにひどい状況です。

インドでは現在も自動車が急増していますが、最小限の環境規制となっており、何も手を打たなければ大気汚染が手に負えないレベルになります。

かつて、トヨタのカローラやアメリカのフォードTモデルが日本やアメリカでそうだったように、マルチスズキのインドで最も売れているマルチ800は環境基準に適合していないとして、2010年に、インドの多くの都市で販売停止になりました。

マルチ800
マルチ800

インドでは今後も環境規制の強化が予測されており、インドのモディ政権は4年以内にヨーロッパ並みの環境基準を導入することを検討しています。

また、インドの最高裁は一時的な措置としてディーゼル車の一部車種について、新規登録を禁止しました。この措置はトヨタのSUVにも影響を与えています。

大気汚染に加え、インドは原油を輸入に頼る国であり、その点でもハイブリッドカーや電気自動車といったポストガソリン車の普及が進むと予測されています。

このような環境規制の強化に対し、スズキとマルチスズキ単体では、ハイブリッド車や電気自動車、さらに今後普及してくるであろう自動運転といった技術を開発する予算は潤沢とは言えません。

そこでこのような技術開発競争でのパートナーとしてトヨタを選んだと考えられています。

一方トヨタは会見では否定はしているものの、出遅れているインド市場での販売強化にスズキのネットワークやノウハウを期待はしているでしょう。

トヨタ、スズキとも、過去に他の自動車メーカーと提携したり協力したりしてきましたが、今回の協力関係はWinWinの関係になるのではないでしょうか。

出典:http://profit.ndtv.com/news/opinions/article-why-toyota-and-suzuki-need-each-other-in-india-foreign-media-1473571

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